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January 19, 2004

ソシオ-メンタル・コネクション

ということばを、Mary Chaykoという人がConnectingという本の中で使っていて、ちょっと、というかかなーり気になっています。たとえばブログの中でコメントしあう仲のような、直接には会わないかもだけどそれなりに関係があって、自分に意味ある存在のことのようです。でもネットに限った話じゃなくて、自分が面識は無いけど目標にしている(私淑しているっていうんでしょうね)専門分野の先輩とか、生き方を参考にしている小説の主人公とか、要するに「直接生活に関係してこないけどメンタルにはそれなりに大事な他者との関係」を指すようです。

社会学にはweak tiesていう有名な概念がありますけど、あれはネットワークの構造上の話だし、こういう感情や心理面に焦点をあてた、他人との薄い関係って、まだまだ研究されてないと思います。Chaykoも自分が言いたいのはネットワークの話じゃないんだって、weak tiesとは距離を置く考え方をしています。

ネットでクローズアップされたけど、こういうタイプの関係って昔からあったはずで、なのに見落とされてきたんだよなあ、と思います。Oldenburgのthird placeの概念が近いといえば近いかな。third placeって、家でも職場でもない場所のことだけど、そこの関係ってつかず離れず、親密ではないものなんだとOldenburgは論じていて、これまたすごく気になる概念です。Third placeってGoffmanが書いてた公共空間なんかよりはぜったい親しい他者同士の、よりどころ的なものだし。

今は論文の中でこれらの概念をテコに、ネットの中の公共空間について書こうとしています。ソシオーメンタル・コネクションの発展をSlaterらのいうexpansive potentialとして位置づけようとしてるんだけど、一次集団とか、社会学で一般的な関係の考え方とぜんぜん違う話なので、悩ましいところです。ネットと離れて、一般的な文脈で一度書かないといけないのかもしれません。

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