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June 20, 2005

好きなことを仕事にする

卒業生が「進路について相談したい」と研究室にやってきました。話を聞いたら今年の4月に入社した会社を4月に辞めてしまったのだそうです。自分の好きな分野でやりたい仕事があるのだが、そのために専門の学校に通うのがいいのか、どうしたらいいのか、という相談でした。

今はバイトで生計を立てているようです。就職活動で休んだゼミの時間はどうしてくれるんだー君~、と指導教員としてはいいたい気もしなくはないです。でも若いんだし、好きな方向でやっていけたらいいかな、とも思います。

最初はいやなことでもやっているうちに好きになったり、好きなことでも仕事にしたらいやになったり、一つの仕事の中でも好きな作業と嫌いな作業があったり。好き嫌いは一筋縄ではいかないけど、意外と好きなことを仕事するという選択も「あり」だなあと周囲を見ていて思います。私は30代後半にもなって職歴は数年の駆け出し社会人ですが、駆け出しの眼から見て、どんな分野でも、情熱をもってやっている人は尊敬できますしね。

極めようとすればたいへんなのは、どの仕事でも同じ。なら好きなことに一生に一度くらい挑戦してもバチは当たらないのではないかしら。だめならだめで、できる分野でやればいいんだし。ただし賃金・労働の負荷・可能なキャリアパスとか、業界の構造は当事者に話をきいて、しっかりリサーチしといた方がいいよ~などという話を卒業生とはしました。あまりオトナのアドバイスではなかったかも。まあ「プロテスタンティズムの倫理」からゆったら天国には入れてもらえなさそう...。

Richard SennettはThe Corrosion of Caracterの中で、新しい資本主義の中で、ふつうの人間が一貫したキャリアとかそれに基づくアイデンティティを持ちにくい時代になった..という話をしています。まったくの異業種への転職を余儀なくされたり、リストラされたり、仕事の評価基準が抽象的で、社会との接点を実感できなくなったり。好きなことを仕事にしようというのは、そういう流れに対抗するわけだから、じつはとってもライフ・ポリティカルな動きなんだな...と思います。仕事が「それなりの一貫したもの」でなくなればなくなるほど、好きなことを追求したい人は増えるのではないかしら。おっとこれは一つ仮説だ。

なにはともあれ仕事は見つけるのも続けるのもラクではないですね。件の卒業生には、納得できる道が見つかればいいなあと思います。

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脱サラして以前から好きだったことを仕事にするのなら,それは非常にライフ・ポリティカルな動きだと思うのですが,学生さんがアルバイトしながら夢を追っかけるのは,きみきみ,それは好きな仕事じゃなくて憧れている仕事だろう,と思うのです. ぼくの場合も,やっぱライターだろうと思ってライターを始めて,やってみると手応えがなくてコンサルとかシステム構築とかマーケとか渉外とかジョブホップしてきた訳ですが,憧れているときに外側からみた仕事と,実際やってみての仕事ってかなりギャップがあるんですよね. そういうことを踏... [Read More]

Tracked on June 27, 2005 02:09 PM

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