橘木俊詔『脱フリーター社会』東洋経済新報社
いろいろな意味で新鮮でした。
新鮮だった考えのいくつか。
1.男性のフリーターより女性のフリーターの方が「悲惨さ」が少ない。結婚の可能性があるから。就職差別の結果フリーターになる女性もいるだろうが男性である著者からみると「気楽」でいいなあという感じもあるらしい。
この「女性は結婚という手もあるし。。。」というのはこの議論に限らず、ときどき男性からも女性からも出てきますが、私は「結婚」と「仕事」って置換する考え方ができなかった(<いつも運命的な恋、ってことにしときますか)ので、新しい感じがします。
2.専門知識が就職に直結しない、ことがお約束だった文学部や経済学部でも、もっと職業を意識した教育をしていい、という主張。専修学校とはそれでも違いがあるので、競争しつつ生き残ればよいという考え。
3.若者に、事実婚も含めて結婚をはっきりと勧めていること。子どもを持つのも、むずかしく考えずとにかく普通にやってよいのではないかと。「食っていかなくてはならない」「食わせる家族がいる」立場に立とう、というアドバイスはわかりやすい。こうあっさり「こう生きよう」っていうのは「人それぞれ」っていいがちな時代に貴重な感じがしました。
個人にも、企業にも、大学にも、政府にも、それぞれ注文があって、明解。
この間のBSAのGiddensのお話(<ナマでみた!)が「学者はもっと公共政策にかかわらないと。発信しないと」というお話だったのですが、まさにそういう役割をきちんと果たす本だと思いました。
大学の役割については、考えさせられました。私の教えている科目はまさに就職に直結しない。論理的な思考とか、語学とか、データの見方とか、プレゼンとか、汎用性のありそうなスキルを伝えるのが関の山。正直、毎日悩むところです。
大学で教える中途半端な職業教育なんて。。。という考えは企業にも大学にもあると思います。何の役にも立たないお学問を教えてもしょうがないだろし。じゃあ実務家を持ってきて教育すればいいかというと、それがそうでもない。。。けっこうややこしそうな気がします。たしかにすでに多くの大学は実践を意識しているけど、おかげでわけのわからないプログラム名も氾濫してるし。でも、「脱フリーター社会」に向かうために大学教育の方向を転換しよう、っていうのはなるほどな、と思いました。


Comments
実際に習ったことがある人間から言いますと,この人の性格はビミョーなので(スポーツ好きのタダのオッサンです),古い価値観の押しつけをしてないか心配です(--;
Posted by: こやま | April 28, 2007 at 03:18 AM
お人柄は存じませんが、文章をみるとそう考えるのはわかるな、という気がします。
年配の人のアドバイスって、いう人によって素直に聞けたり、違和感があったりですが、この本は根拠がはっきりしていて「ここは価値観の押し付けかもだけど」という留保もあるので、「ああ、そうなのね」と思います。
Posted by: mito | April 28, 2007 at 09:52 AM